298 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [] 投稿日:2005/09/18(日) 11:14:32 ID:2cAQPwaOO
西暦2005年7月。
オールスター二日目。全パの選手がのった飛行機が、日本アルプスに不時着した。
また、その2時間後、全セの選手が乗った飛行機も同じように不時着した。
数十分後…眠っていた新井はゆっくりと起き上がり辺りを見回した。
「ここは…どこだ?俺たちは甲子園に向かったんじゃ…」
飛行機の中には誰もいない。
そして、辺りは静まり返っている。
「おーい。だれかいないのかー。兄貴ー。前田さーん。黒田さーん」
新井は日本の中心で仲間達を叫び続けた。
「その声は…新井さんですか?」
近くから声がした。
敬称で呼んでいることから年下だと推測できる。
木の影から人が現れた。
その人物は…スワローズの期待の星、青木だ。
「あ、青木か。他の人たちは何処にいるんだ?」
「この先に清原さんと、金本さんと、今岡さんがいます。
しかし、他の人の消息は…」
「そうか。まぁ、兄貴達の無事は確認されたわけだ」
飛行機が落ちたところからから数百メートル離れたところに三人はいた。
299 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [] 投稿日:2005/09/18(日) 11:15:12 ID:2cAQPwaOO
「おっ。青木が戻ったか。ん?新井もおったんか?
そりゃ良かったわ。わっはっはっ」
「良かったじゃないッスよ。
何で俺をほっといていったんですか?」
「あぁ、すまんなぁ。お前は一番後ろにおったからきづかなかったんや。
それに、ワシや金本、今岡、青木が目ぇ覚めた時、既に他の奴らはおらんかったが…」
その時、何かが草むらから飛び出してきた。
「な、なんや。い、犬ぅ?」
数匹の犬が背後に現れた。しかも、彼らは全員皮膚が腐敗し、目は汚れ、新鮮な肉を求めて歩き回る獣と化していた。
「あ、あかん。みんな、こっちや。ワシに続けぇ」
五人は一斉に走りだした。後にはゾンビとなった犬が追い掛けてくる。
しばらく走っているうちに、前方に巨大な建物が見えてきた。
「あそこや。みんな、走れぇぇぇぇ!」
それぞれが懸命に走った。だが、除序に差がつき始めた。
最前列に青木。次は金本。続いて新井、今岡が続いた。
最後の一人が建物に入り込むと、急いで扉を閉めた。「ふうっ。危なかったですねぇ。」
「青木。お前は足が速すぎだろ。俺たちに合わせろよ」
「今岡さん。無茶言わないで下さいよ。こうして四人全員いるわけだし」
「四人って。清原さんが足りないじゃないッスか!」新井の言葉に皆、はっ。と驚いた顔をした。
「おそらく…」
金本は無常にも言う。
「そんな!」
青木が反論する。そこへ。バン、バン、ズドォーーーン!
西の扉の向こうから銃の音。
「俺がいってくるッス」
新井が先鋒を申し出た。
「そうか。だが、こちらは四人。もう一人、青木を連れていったらどうだ?」
青木を連れていきますか?YES
NO
329 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 15:25:57 ID:2cAQPwaOO
YES
「わかりました」
さびかけたドアを開けると…
中は西洋風の食堂だった。
長いテーブルには食器、蝋燭、ナイフ、フォークなどが並んでいて、これから晩餐が始まるかのようだ。
「さっきみたいな化け物がいるかもしれんからこのナイフを持っていこう」
その時、青木は食堂に通じるもう一つのドアに何か落ちてるのに気が付いた。
「あ、新井さん。あそこに何かが…」
そこには巨人の帽子が落ちていた。しかも、まだ生暖かい。
この先に何が…
「二人は恐怖に震えたが、ここにいても何も始まらない。
そう思い扉を開けた。
すると、左手の方から何やら音がする。
そう。何かを貪っている音が。
「よし、俺が先に行く。
お前は後に付け」
新井はナイフを構え、慎重に歩いた。
そして、曲がり角の先には…
髪の無いぼろぼろの服を着た男が血塗れの黒人にかぶりついている。
二人はしばらく金縛りにあったかのように動けなかった。
「なんてこった。ありゃあ、ローズだ」
新井は思わず声をあげてしまい、ゾンビに気付かれてしまった。
「野郎。来るか。これでも食らえ」
新井は装備していたナイフをゾンビ目がけて投げ付けた。
その内の一本がゾンビの頭に突き刺さり、ゾンビは動かなくなった。
「とりあえず玄関に戻り、金本さん達に報告しましょう」
二人は今来た道を戻った。しかし、そこに金本達の姿は無かった。
「兄貴達は何処へいったんだ?」
「とりあえず探しに行きましょう。一階と二階どちらからまわるべきでしょうか?」
一階
二階
379 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 20:07:05 ID:2cAQPwaOO
「一階から探そう」
二人はローズの死体を見ないようにして、先に進んだ。
その後二人は銃を見つけて、開かない扉をこじ開け、館中を探索した。
「いない…何処へ行ったんだ?」
仕方なく玄関に戻ったら金本が書いた紙があった。
「新井、青木。玄関の犬は俺が蹴散らした。
ここで調べたんだが、この近くに球場がある。
俺はそこで待ってる」
と、記されており、二人は館をでて再び森を歩き始めた。
金本が言ったとおり、館から更に奥に古い球場があった。
そこに金本はいた。
そして、近くには…今岡の死体があった。
「兄貴!今岡さんは…」
「あぁ、こいつは俺が殺した」
「殺した?何故ですか?」
「フフフ。まだ気付かないのか。ここにいる面子をみてみろ」
新井、青木は気付いた。
ここにいるのは打撃三部門の一位。しかも、金本は二位に付けている。
「か、金本さん。あんたまさか…」
「そうだよ。青木くん。俺は今年どうしても三冠王を取るつもりだ。
そのためにはお前達が邪魔なんだよ」
380 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 20:09:10 ID:2cAQPwaOO
「野郎!ローズもそうやって殺したのか!」
「あぁ、われわれ全パはははここで生物兵器を大量に作っている。
彼はその実験材料さ。
しかし、今岡は仲間だったんだが俺を裏切った。誰のおかげで打点が稼げると思ってるんだ」
(パリーグの犬め)
「と、いうことはウッズや小久保さん、清原さん、金城さん、前田さんも」
「あぁ、全員ゾンビの餌さ。
しかし、君たちは生き残った。
全く、しぶとい。だが、これで終わりだ。
冥土の土産にいいものをみせてやろう」
金本がスイッチを入れると、ベンチから巨大な大男が出てきた。
「これぞ究極の野球選手【カブレラ】だ」
「金本。ヤキが回ったな」「黙れ。貴様には理解できまい。
さぁ、カブレラよこいつらを殺せ」
大きな唸り声とともにカブレラは青木に突進してきた。
「あっ、危ない。あんなのくらったら…」
「フフフ。観念しておとなしく首をさしだせ。
貴様等では止められん」
「まてぃっ!」
381 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 20:10:21 ID:2cAQPwaOO
スタンドから声がする。
皆一斉にそちらに目をやった。
「清原。生きていたのか」
「阿呆。ワシがあのくらいでくたばってたまるかいな。
金本。お前だけは許さん。このことはコミッショナーに報告させてもらうわ」
「お、おのれ。このままでは俺は三冠王どころか永久追放だ。
カブレラ、あの二人はいい。清原を殺せ!」
カブレラはくるっと向きをかえ、清原につっこんでいった。
しかし、清原はカブレラの体当たりを踏み止め、カブレラの腹に膝げりを食らわせた。
「清原さん!」
青木は叫んだ。
「ワシは大丈夫。それよりお前等はにげい。
これからのプロ野球を背負っていくのはワシやない。お前等や。
ええな。必ず生き延びろよ」
「清原さーーん」
二人は清原の無事を祈りながら球場を後にした。
「おっ、おのれ。逃がすかぁぁぁぁぁっ!」
金本は急ぎ二人を追撃した。
382 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 20:11:30 ID:2cAQPwaOO
球場にのこっているのは清原、カブレラの二人のみ。
「カブレラ。もうワシ等の時代は終わったんや。
後は若いもんにまかせよ。な?」
清原は隠し持っていた手榴弾を取り出すと、突進してきたカブレラの口に放り込んだ。
そして数秒後、爆音と共にカブレラは崩れ落ちた。
清原は煙草をくわえ、青く、広い大空を眺めていた。そして、静かに息を引き取った。
ゾンビ犬に致命傷を負わされていたのだ。
一方、逃げる新井、青木に金本が迫る。
そして、後少しで町に出ようかというとき、金本が立ちはだかった。
「とうとう追い付いたぞ。貴様等にタイトルは渡さん」
「あんたって人は。
青木。ここは俺が食い止める。お前はこのことを皆に伝えろ。
これは俺と金本の問題だ。お前は逃げろ」
青木は持ち前の俊足を発揮し、スキを突かれた金本を出し抜いた。
「フッ。いくらあんたでも青木には追い付けまい。
さぁ、もう観念しろあんたに勝ち目はない」
383 名前: ◆o0rB0FLzQ2 [sage] 投稿日:2005/09/18(日) 20:12:03 ID:2cAQPwaOO
「こ、この俺が、この俺が後輩などに負けるはずが無い。
新井!せめて貴様だけでも」
両者はナイフを取り出し、臨戦態勢に入った。
先に金本が仕掛けてきた。新井はこれをかわし、背後をとったが、金本は振り向きざまにナイフを振りかざした。
ナイフは新井の足を掠め、新井の動きが止まった。
「止めだ。死ねぇぇっ」
「うぉぉぉぉぉぉっ」
新井が一瞬早く金本の胸を貫いた。
「グッ。クソッ。これ以上は戦えん。しかし、覚えておれよ」
そう言い残し、金本は森のなかへ消えていった。
「か、勝ったのか?兄貴に。これで…もう…敵は…いない。帰るか…広島へ…」
その後…野球人気低下を恐れたコミッショナーおよびオーナーは証拠不十分としてこの件を不問にした。
そして、二度目の悲劇が訪れようとしている…
完